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Q5 解説:地震の死亡原因、倒壊の速さと衝撃

阪神・淡路大震災の死亡原因

1995年の阪神・淡路大震災における死者は6,434名ですが、兵庫県企画県民部災害対策局災害対策課の記者発表によると、直接死(5,483名)に占める主な死因の内訳として、窒息・圧死が72.57%(3,979名)とされています。阪神・淡路大震災:神戸市における死亡者発生要因分析」の資料によると、兵庫県監察医務室から死亡者の死亡時刻や死因の統計が公表され、3/4以上が窒息死であり、95%以上が発震後14分以内の死亡であったそうです。

住宅の倒壊の速さ

防災科学技術研究所では、建築基準法が大幅に改正された1981年以前の耐震性の比較的低い仕様の木造住宅と、同じ仕様に耐震改修を施した住宅2棟を建設し、兵庫県南部地震を再現して、住宅の耐震実験(動画5-1)を実施しています。この実験映像(Webの下から3番目)によると、耐震改修していない右側の住宅は、地震発生後、住宅が少し大きく揺れ出してから約8秒後に倒壊しています。揺れが大きくなってからでは歩行が困難となり、ドアや窓は変形しているため開けられないので屋外に避難することはできません。仮に屋外に脱出ができたとしても、瓦屋根やモルタル外壁の留め付けが不適切な場合は、瓦などが頭上に落下する恐れ(引用:佐原町並み交流館)があります。

(左)耐震改修済み (右)耐震改修なし

動画5-1 兵庫県南部地震の地震動による既存住宅の倒壊状況

引用:防災科学技術研究所 加振実験映像【2】木造住宅 -在来軸組構法-(2005年11月)

倒壊による衝撃

住宅の1階部分が倒壊した場合、2階床より上部が数秒で落下して、1階の床や家具などに衝突することになります。

この落下する建物の重さは、どの程度なのでしょうか?

下記の在来軸組構法の総2階建て実験住宅の条件では、2階床より上部の重量は、147.63kN(約15ton)となっています。

(「新築木造住宅の重量算定-実大試験体を用いた重量計測-」、平面寸法8m×10m、瓦屋根、窯業系サイディング)

仮に2階床より上部の建物の重さを15tonとすると、重さ1.5tonの乗用車10台が避難したテーブル上へ落下するイメージ(図5-1)となります。このような状態で落下した場合は、テーブルの脚部が容易に破壊するのではないでしょうか?

落下のイメージ

図5-1 テーブルへの落下のイメージ

耐震性の低い住宅の地震被害状況

 「熊本地震における木造倒壊建物からの救助活動に関する研究」(図5-2)によると、熊本地震において救助対象となった木造住宅の倒壊建物60棟のうち、住宅が全壊した建物(Cd5-)は計20棟、1階が倒壊し2階が残っている建物(Gd5-,Gd5+)は38棟、平屋建てが全壊している建物は2棟であり、2階のみ倒壊し1階が健全な住宅はありませんでした

 2階建ての1階部分は2階部分の重量が加わっており(図5-3)、1階に窓やドアの部分を広くとるなど耐震性が低い場合は、1階部分が倒壊する場合が多くなっています。

住宅の倒壊パターン

図5-2 木造住宅の倒壊パターンと閉じ込め位置

引用:熊本地震における木造倒壊建物からの救助活動に関する研究、67P

1階が倒壊した場合の状況の例
東北地方太平洋沖地震

住まいの研究館

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<地震対策編>

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